米国の長期金利の代表指標である10年国債利回りが節目の5%を突破し、一時5.0266%まで上昇しました。これは2007年以来、約19年ぶりの高水準です。あわせてドル円は155円台での攻防が続き、NYダウは一時500ドル超下落。9月17日(水、日本時間18日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、25bpの利上げ観測が9割を超えて織り込まれています。
何が起きたか
米10年債利回りが心理的節目の5%を明確に上回り、2007年以来の高水準に達しました。この動きを受けてNYダウは一時500ドル超下落し、米国株式市場全体が神経質な展開となっています。金利先物市場では、FRBが今週のFOMCで政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%とする確率を9割超織り込む状況です。為替市場ではドル円が155円台前半での一進一退が続き、上値の重さも意識されつつ、なお円安方向への圧力が残っています。10年債利回りの5%到達は、企業の借入コストの前提を見直させるだけでなく、米国の住宅ローン金利をも数十年ぶりの水準に押し上げつつあります。
なぜそうなったのか
背景にあるのは、根強いインフレ懸念です。中東情勢の緊迫化を受けた原油高が続いており、エネルギーコストの上昇がインフレの長期化観測を強めています。本来であれば景気減速懸念から利下げに動きたい局面でも、インフレが収まらなければFRBは利上げという逆の選択を迫られます。市場はまさにその「利下げどころか利上げ」というシナリオを織り込み始めており、長期金利の上昇という形で表れています。加えて、すでに大きい米国の財政赤字も、長期金利に上乗せされるプレミアム(ターム・プレミアム)を押し上げる一因とみられています。奇しくも同じ週には日銀も9月17〜18日の会合で政策金利を1.25%へ引き上げるとの観測が強まっており、日米の中央銀行が同時にタカ派方向へ動く珍しい局面を迎えています。
りょうの視点
私はこの動きを見て、「金利が上がったら株や債券が下がる」という一過性のイベントというより、ここ数か月続いてきた「高金利が普通」というレジームが、また一段階進んだだけだと捉えています。8月にも米長期金利が19年ぶりの高水準をつけた場面がありましたが、今回はそれをさらに更新して5%という節目に到達しました。正直なところ、こうした金利上昇がどこで一服するのかを言い当てるのは、プロでも難しいというのが率直な感想です。だからこそ、FOMCや日銀会合のたびに一喜一憂して売買方針を変えるより、「金利が高い時代の資産配分」をあらかじめ決めておく方が、精神的にも実務的にも楽だと感じています。
私たち個人投資家はどうすべきか
まず大前提として、FOMCや日銀会合の結果を当てにいく短期売買は、個人投資家にとって期待値の低い勝負だという点は変わりません。そのうえで、今回のような局面で確認しておきたい実践的なポイントを挙げます。
1つ目は、保有資産の中身の再確認です。新NISAの成長投資枠などで米国株式指数や米国債券ファンドを保有している場合、長期金利の上昇は債券価格の下落要因になります。特に長期債を組み入れたファンドは値動きが大きくなりやすいため、「自分がどれくらいの金利上昇リスク(デュレーション)を取っているか」を一度確認しておくと安心です。2つ目は、積立投資を止めないことです。ドルコスト平均法は、まさに今のような価格変動が大きい局面でこそ効果を発揮する仕組みであり、短期の下落や金利上昇のニュースで積立を止めてしまうと、その効果を自ら手放すことになります。3つ目は為替の受け止め方です。ドル円155円台という円安水準は、これから新規にドル建て資産を買う人にとっては割高に感じられますが、毎月一定額を積み立てている人にとっては、円高局面・円安局面を平均化していく過程の一コマに過ぎません。4つ目は、レバレッジをかけたFXポジションや信用取引など、金利や為替の急変動に弱い取引を今のタイミングで新たに拡大しないことです。ボラティリティが高い時期は、守りを固めることの方が合理的な場面が多いと感じています。
まとめ
- 米10年債利回りが5%を突破し、2007年以来約19年ぶりの高水準に
- 背景には中東情勢による原油高とインフレ長期化懸念、FOMCでの利上げ観測がある
- 同じ週に日銀も利上げ観測が強まっており、日米中銀が同時にタカ派方向へ
- 個人投資家は資産配分(特に債券のデュレーション)の再確認が有効
- 積立投資は止めず、レバレッジ取引の新規拡大は控えめにするのが無難
投資は自己責任です。本記事は特定の売買を推奨するものではなく、将来の相場を保証するものでもありません。

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