親の「資産凍結」に備える 40代が今からできる認知症対策とお金の話

親の「資産凍結」に備える 40代が今からできる認知症対策とお金の話 資産形成
親の資産凍結に備える認知症対策

おはようございます、りょうです。先日、実家の父(77歳)と電話で話していて、通帳の残高を何度も聞き直してくることがあり、少し引っかかりました。まだ日常生活に支障はないのですが、金融庁の試算では2030年に認知症高齢者が保有する金融資産は約215兆円にのぼるとも言われています。もし親が認知症と診断されると、本人名義の預金は原則として本人以外が引き出せなくなり、いわゆる「資産凍結」が起きます。介護費用や医療費が必要なタイミングで口座が動かせない、というのは決して他人事ではありません。今日は40代の会社員が今のうちに知っておきたい、親のお金を守る備え方を整理します。

なぜ「資産凍結」が起きるのか

銀行は口座名義人の意思能力に疑いがあると判断すると、本人以外による引き出しや解約に応じなくなります。これは不正利用から本人を守るための措置ですが、家族にとっては「介護施設の入居金が必要なのに親の口座から出せない」「実家を売って介護費用に充てたいのに手続きが進まない」といった困りごとにつながります。凍結を解除する手段として成年後見制度がありますが、家庭裁判所が選ぶ後見人には専門家(司法書士や弁護士)が就くケースも多く、月2万〜6万円程度の報酬が本人が亡くなるまで発生し続けます。また財産の使い道も「本人のため」に限定され、生前贈与や資産運用など柔軟な対応がしにくくなる点も知っておく必要があります。

選択肢を比較する:家族信託・成年後見・任意後見

親の判断能力があるうちに選べる備え方はいくつかあります。それぞれ特徴が異なるため、早めに違いを押さえておくと親との話し合いもしやすくなります。

制度 開始できる時期 財産管理の自由度 主なコスト
家族信託 判断能力があるうちのみ 契約内容次第で高い(不動産の売却・運用も可) 契約時のみ(数十万円が目安)
任意後見制度 判断能力があるうちに契約、発症後に発効 身上監護中心、財産処分は限定的 発効後に月額報酬
法定後見制度 判断能力が低下した後 家庭裁判所の監督下で限定的 継続的に月額報酬

ポイントは、家族信託と任意後見は「本人が元気なうちにしか契約できない」という点です。すでに判断能力が低下してしまうと、選べるのは法定後見のみになります。実家の資産に不動産や賃貸物件が含まれる場合は特に、動かせなくなる前に検討しておく価値があります。

生前贈与という選択肢も、2024年の改正でルールが変わった

資産凍結対策と合わせて考えたいのが生前贈与です。2024年の税制改正で、暦年贈与(年110万円までの非課税枠)を使った贈与について、相続開始前に遡って相続財産に加算される期間が3年から7年に延長されました。この延長は段階的に適用され、加算期間が完全に7年になるのは2031年以降に発生する相続からです。一方で、相続時精算課税制度には新たに年110万円の基礎控除が設けられ、この基礎控除分は相続財産への加算対象外となるため、以前より使いやすくなりました。どちらの制度が有利かは贈与する金額や時期によって変わるため、まとまった資金を動かす前に一度整理しておくと安心です。老後資金の全体像を含めて考えたい方は、以前まとめた老後資金計画、40代が今すぐ始めるべき老後への備え方も参考にしてみてください。

40代の今、何から始めるか

1. 親の資産の全体像を聞いておく
通帳がいくつあるか、証券口座はあるか、不動産の名義はどうなっているか。金額の詳細までは踏み込まなくても、「どこに何があるか」のリストだけは把握しておくと、いざという時の動きが全く違います。

2. 「もしも」の話をするきっかけを作る
正面から相続の話を切り出すと身構えられがちです。「会社の研修で聞いた話なんだけど」といった形で、ニュースや制度改正を話のきっかけにすると自然に切り出しやすくなります。今回の税制改正の話題も、そのきっかけの一つとして使えます。

3. 専門家への相談は「元気なうち」がタイミング
家族信託も任意後見も生前贈与も、親の判断能力があるうちにしか選べません。司法書士や税理士への相談は無料相談会も多いため、まずは情報収集だけでも早めに動いておくと選択肢が狭まりません。会社員が使える税金の制度全般は節税対策まとめ、会社員が使える全ての税金対策でも整理しているので、あわせてチェックしてみてください。

よくある質問

Q. 家族信託は自分たちだけで手続きできますか?
A. 契約自体は当事者間でも可能ですが、内容の不備がトラブルの原因になりやすいため、公正証書化を含めて司法書士などの専門家に相談するのが一般的です。

Q. 認知症と診断された後でも家族信託は組めますか?
A. 契約には本人の判断能力(意思能力)が必要なため、診断後は原則として組めません。軽度の物忘れの段階でも、早めに検討を始めることが大切です。

Q. 証券口座も家族信託の対象にできますか?
A. 預金や不動産に比べて、信託契約に対応している証券会社はまだ限られます。事前に取引先の証券会社に対応可否を確認しておくと安心です。

※本記事の内容は執筆時点の情報をもとにまとめたものです。税制や制度の詳細は変更される可能性があるため、実際の手続きの際は税理士・司法書士など専門家にご確認ください。また、投資に関する判断はあくまで自己責任で行ってください。

まとめ

  • 親が認知症になると預金が「資産凍結」され、介護費用が必要な時に動かせなくなるリスクがある
  • 家族信託・任意後見は判断能力があるうちにしか契約できず、法定後見は財産管理の自由度が低い
  • 2024年の改正で暦年贈与の持ち戻し期間が7年に延長された一方、相続時精算課税には年110万円の基礎控除が新設された
  • 40代の今のうちに、親の資産の全体像を把握し、話し合いのきっかけを作っておきたい
  • 制度の選択や手続きは専門家への早めの相談が安心

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