おはようございます、りょうです。先日、実家の父から「そろそろお前たちに少しずつ渡しておこうかと思っている」と言われました。いわゆる生前贈与の話です。年間110万円までなら贈与税がかからないというのは知っていたのですが、詳しく調べてみると「今のうちに始めないと非課税のメリットを取り逃す」という制度になっていることが分かりました。というのも、贈与から相続までの期間が短いと、せっかく非課税で渡した分が結局相続財産に戻されてしまうルールが、ちょうど今、移行期の真っ最中だからです。今日は40代の会社員が「贈与する側」「受け取る側」それぞれの立場で知っておきたいポイントを整理します。
生前贈与110万円の非課税枠、基本のおさらい
暦年贈与とは、1年間(1月1日〜12月31日)に受け取った贈与財産の合計額が110万円以下であれば贈与税がかからない仕組みです。この基礎控除自体は2026年時点でも廃止されておらず、「生前贈与は終わった制度」というのは誤解です。ただし、次に説明する「持ち戻し」のルールが変わったことで、使い方を考え直す必要が出てきています。
最大の変更点は「相続財産への持ち戻し期間」が3年から7年に延長されたこと
贈与した人が亡くなった場合、亡くなる直前の一定期間内に行われた贈与は、非課税枠内であっても相続財産に足し戻して相続税を計算するルールがあります。この期間が、従来の3年から7年へと延長されました。ただし一度に切り替わったわけではなく、2024年1月の贈与から段階的に対象期間が延びていく移行措置がとられています。
つまり2031年以降に相続が発生する場合、贈与から7年以上経っていないと持ち戻しの対象になり得るということです。逆に言えば、贈与を始めるタイミングが早いほど、非課税で確実に財産を移せる期間を長く確保できます。「まだ元気だから贈与は先でいい」と先延ばしにするほど、この移行期のメリットを取りこぼす可能性があるわけです。
教育資金の一括贈与特例は2026年3月で終了済み
祖父母などから孫への教育資金を1,500万円まで一括で非課税贈与できる特例がありましたが、この措置は令和8年(2026年)3月31日をもって延長されず終了しました。孫の教育費をまとめて援助したいと考えていた家庭は、今後は暦年贈与の110万円枠をコツコツ使うか、都度必要な教育費を都度贈与する(この場合は非課税)方法に切り替える必要があります。制度が終わったことを知らずに「まだ使える」と思い込んでいる親世代も多いので、実家と話す機会があれば伝えておきたいポイントです。
40代は「贈与する側」と「受け取る側」の両方になり得る
40代は、自分の子どもへ教育費や結婚資金の援助を考える「贈与する側」であると同時に、実家の親から資産を受け取る「受け取る側」にもなり得る、ちょうど板挟みの世代です。それぞれで考えるべきことが違います。
- 子どもへ贈与する側の場合:110万円を毎年コツコツ渡すことで、教育費や将来の住宅資金の一部を無税で移せる。早く始めるほど移行期のメリットを活かせる
- 親から受け取る側の場合:親の年齢や健康状態によっては、贈与から7年以内に相続が発生し持ち戻しの対象になる可能性がある。それでも贈与自体を否定する理由にはならないが、「相続税対策」と「認知症などで判断能力が落ちる前に資産を動かしておく」という2つの目的を分けて考えるとよい。認知症で口座が凍結されるリスクについては親の「資産凍結」に備える 40代が今からできる認知症対策とお金の話でも詳しく触れています
生前贈与で失敗しないための3つのポイント
110万円以内だからといって何も準備せずに渡すと、税務署に「贈与ではなく名義預金(実質的には元の名義人の財産)」と判断されてしまうことがあります。失敗しないためのポイントは次の3つです。
- 贈与契約書を作る:金額や日付を明記した簡単な書面を、贈与のたびに作成し双方が保管する
- 受け取る側が口座を管理する:贈与した通帳や印鑑を渡す側が管理し続けていると、名義預金とみなされるリスクがある。受け取る本人が使える口座で管理する
- 毎年同じ時期・同じ金額を機械的に繰り返さない:「10年間、毎年110万円ずつ渡す」という約束を最初にしてしまうと、合計額に対して贈与税がかかる「定期贈与」とみなされる恐れがある。金額や時期は年ごとに多少変えるほうが安全
シミュレーション:110万円を10年続けるとどれくらい非課税で移せるか
単純計算ですが、毎年110万円を10年間贈与し続けると、合計1,100万円を贈与税なしで移せることになります。仮にこれを一括で贈与した場合、贈与税額は特例贈与財産(直系尊属から18歳以上への贈与)の税率で計算すると、1,100万円に対しておよそ207万円程度の贈与税がかかる計算になります(基礎控除110万円を引いた990万円に対して累進税率を適用した概算)。分けて贈与するだけで、これだけの差が生まれるのが暦年贈与の大きな利点です。ただし前述の通り、相続開始のタイミングによっては直近の贈与分が持ち戻される可能性がある点は忘れずに。
よくある質問
Q. 110万円の非課税枠は廃止される予定はありますか?
A. 2026年8月時点で、基礎控除110万円そのものを廃止する具体的な決定は出ていません。ただし税制は毎年見直されるため、最新情報は国税庁や税理士に確認することをおすすめします。
Q. 夫婦それぞれの親から贈与を受ける場合、非課税枠は合算されますか?
A. 非課税枠は「贈与する人」ごとではなく「贈与を受ける人」ごとに年間110万円です。複数の人から贈与を受けても、合計が110万円を超えれば課税対象になります。
Q. 相続時精算課税制度とはどう違いますか?
A. 相続時精算課税は累計2,500万円まで贈与税を先送りできる別の制度で、こちらにも別途年110万円の基礎控除が設けられています。暦年贈与と選択制のため、金額や目的によってどちらが有利か変わります。まとまった資金を早期に渡したい場合は税理士に相談するのが確実です。
まとめ
- 生前贈与の110万円非課税枠は廃止されていないが、相続財産への持ち戻し期間が3年から7年へ段階的に延長されている
- 2031年以降に相続が発生する場合、贈与から7年以上経過していないと持ち戻し対象になり得るため、早く始めるほど非課税のメリットを確保しやすい
- 孫への教育資金一括贈与の特例は2026年3月末で終了済み。今後は暦年贈与や都度贈与への切り替えが必要
- 40代は子への贈与・親からの受贈、両方の立場になり得る。認知症による資産凍結リスクとあわせて実家と早めに話しておきたい
- 贈与契約書の作成、受贈者自身による口座管理、定期贈与とみなされない工夫が失敗回避のポイント
- 本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。実際の贈与・相続対策は税理士など専門家にご相談ください
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