含み損の株・投信、年内に売れば税金が戻る? 40代会社員が10月から準備したい「損出し」の仕組みと3つの落とし穴

投資・株式
含み損の株・投信、年内に売れば税金が戻る? 40代会社員が10月から準備したい「損出し」の仕組みと3つの落とし穴

今年、特定口座で50万円の利益を確定した人は、すでに約10万円の税金が引かれています。でももし、同じ口座に20万円の含み損を抱えた銘柄があるなら、年内に一度売るだけで約4万円が戻ってくるかもしれません。

これがいわゆる「損出し」です。年末の話と思われがちですが、2026年分に間に合う最終売買日は12月28日(月)。12月に入ると相場も気持ちも慌ただしくなります。だからこそ、まだ余裕のある10月のうちに口座を点検しておくのがおすすめです。今回は、損出しの仕組みと、会社員がやりがちな失敗をまとめます。

損出しとは? 利益と損失を「相殺」して税金を減らす仕組み

株や投資信託の売却益には、約20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。ただし、同じ年に出た売却損は、売却益と差し引き(損益通算)できます。含み損のある銘柄をあえて年内に売って損失を確定させ、課税対象の利益を小さくするのが損出しです。

ケース 確定利益 確定損失 課税対象 税額(20.315%)
損出しなし 50万円 0円 50万円 101,575円
損出しあり 50万円 ▲20万円 30万円 60,945円

差額は40,630円。特定口座(源泉徴収あり)なら、同じ口座内で売った時点で払いすぎた税金が自動的に口座へ戻ってきます。

今年は日銀の利上げや米長期金利の上昇で、債券ファンドやREITに含み損が出ている人も多いはず。株が好調で利益確定した人ほど、口座の中を見直す価値があります。

売ってすぐ買い戻してもいい? 日本のルールと注意点

「売ったらその銘柄を手放すことになるのでは?」と思うかもしれませんが、日本では売った直後に同じ銘柄を買い戻しても損失は認められます(米国のような買い戻し制限ルールはありません)。つまり、保有は続けたまま、帳簿上の損失だけを確定できるわけです。

ただし、手順には注意が必要です。

  • 「売り→買い」の順番で:同じ日に先に買い増してから売ると、取得単価が平均化(総平均法)されて、思ったほど損失が出ないことがあります。
  • 手数料と価格差:投資信託は約定価格が翌日以降に決まるため、売りと買いで価格がずれます。値動きの大きい日は小さくないブレになります。
  • 信用取引の「クロス取引」:売りと買いを同時に出す手法もありますが、貸株料などのコストや仕組みの理解が必要です。初心者は無理に使わなくて大丈夫です。

会社員がやりがちな3つの落とし穴

落とし穴1:NISA口座の損失は相殺できない

一番多い勘違いがこれ。NISA口座は利益が非課税のかわりに、損失も「なかったもの」扱いです。NISAで含み損の投信を売っても、特定口座の利益とは通算できません。しかも売った分の非課税枠は翌年まで復活しないため、NISAでの損出しは基本的にデメリットしかありません。NISAと課税口座の関係は含み益のある株、NISA口座に移せば非課税になる?でも整理しています。

落とし穴2:証券会社をまたぐと自動では相殺されない

A証券で利益、B証券で損失という場合、それぞれの特定口座の中でしか自動計算されません。まとめて通算するには確定申告が必要です。源泉徴収ありの口座を申告に含めるかどうかの考え方は特定口座「源泉徴収あり・なし」どっちが得?を参考にしてください。

落とし穴3:受渡日ベースなので「大納会の日」では遅い

損益がどの年に入るかは、約定日ではなく受渡日で決まります。2026年の大納会は12月30日(水)ですが、この日の売却は受渡しが2027年になり、今年の損益には入りません。

項目 2026年の日付(目安)
今年分に入る最終売買日(国内株) 12月28日(月)
その受渡日 12月30日(水)
大納会 12月30日(水)※今年分には間に合わない

投資信託は商品ごとに受渡日が異なり、海外資産のファンドは株より早く締め切られることがあります。必ず自分の証券会社の年末スケジュールを確認してください。

10月〜12月にやること チェックリスト

  1. 10月:各証券会社の「譲渡益税明細」「実現損益」画面で、今年の確定利益を確認する
  2. 11月:課税口座の含み損銘柄を一覧にし、売っても良いか・買い戻すかを決める
  3. 12月上旬:証券会社の年末受渡スケジュールを確認し、投信は早めに注文する
  4. 12月28日まで:国内株の損出し売却を完了する
  5. 翌年2〜3月:複数口座の通算や損失の繰越をするなら確定申告

ちなみに、利益が出ていない年でも損失を確定申告しておけば、最大3年間繰り越して翌年以降の利益と相殺できます。繰越には毎年の申告が必要なので忘れずに。

よくある質問

Q. 配当金とも相殺できますか?
A. 上場株式の配当は、特定口座(源泉徴収あり)で受け取っていれば同じ口座の売却損と自動で通算されます(配当の受取方式が「株式数比例配分方式」の場合)。

Q. 利益がない年に損出しする意味は?
A. その年の税金は減りませんが、確定申告で損失を繰り越せば翌年以降の利益と相殺できます。ただし手数料や売買の手間とのバランスで判断しましょう。

Q. 損出しすると長期的に得ですか?
A. 買い戻した場合は取得単価が下がるので、将来売るときの利益はその分大きくなります。税金を「先送り」している側面もあると理解しておくと冷静に判断できます。

※本記事は制度の一般的な解説です。投資は自己責任で、最終的な判断はご自身で行ってください。税務の個別判断は証券会社や税務署・税理士にご確認ください。

まとめ

  • 損出しは、含み損を年内に確定させて売却益と相殺し、税金を減らす方法
  • 利益50万円・損失20万円なら約4万円の税金が戻る計算
  • 売った直後の買い戻しはOK。ただし「売り→買い」の順番とコストに注意
  • NISA口座の損失は相殺不可、証券会社をまたぐ場合は確定申告が必要
  • 2026年分に入る国内株の最終売買日は12月28日(月)。10月から準備を始めるのが安心

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